佐伯市職員コンプライアンス推進委員会の報告書が興味深い

 令和3年4月23日に執行された、佐伯市長選挙を巡る公職選挙法違反の容疑で、副市長が逮捕された佐伯市ですが、佐伯市職員コンプライアンス推進委員会が、本事件を受けて取りまとめた報告書を読んでみました。

佐伯市職員の公職選挙法等の違反に係る調査報告及び再発防止に向けた取組について(PDF:605.7キロバイト)

 特に、アンケート結果等からは佐伯市職員の法意識については、懸念すべきことが多いように見受けられます。

 (報告書11頁から抜粋)

 特に7、8、9からは、佐伯市においては、公職選挙法違反に関して職員から逮捕者が出るのは時間の問題だったように思えます。

 また、令和の時代においても、職場内に堂々と、職務と関係ない協力者カード(注)を持ち込み、やり取りしていたのも驚きです。本事件については、職員にも様々な言い訳があるとは思いますが、結局、それはムラ(市役所)社会での屁理屈にすぎないものです。

 日本国憲法の下、法の支配の原理を採用する我が国では、このようなムラ社会の屁理屈も最終的には司法により判断されるという、ごく当たり前の基本を理解していない職員が多いというのがアンケート結果からも見て取れます。

 このように、基本も理解せず、漫然と仕事をしている職員が大多数の佐伯市では、今後もコンプライアンス(法令順守)を維持するのは至難ではないかと考えます。

(注)協力者カードとは、政治活動を行う個人(一般的には、選挙時には候補者となることが見込まれる者)を支持する者が、当該個人の後援会活動に協力する旨を承諾した者の氏名や連絡先を紹介者として記入する形式のものであって協力者カード上には来るべき選挙に関する情報や、投票を呼び掛ける文言は記載されていないことが通常である・・・本件の背景には組合活動との区別をつけられない多数の管理職の存在があり・・・協力者カードの取りまとめであれば、法令に触れることなく、無制限に許されると思っていた・・・と誤った認識を述べたものが多数存在しており、職員の政治活動や選挙運動の在り方について、組合と市が共通認識を持つことが職員全体を違法行為に及ぶ危険性から守ることにも繋がると考える。(報告書5頁)