電気量減、居住実態認めず 南陽市議の当選無効判決 by 朝日新聞
昨年3月の山形県南陽市議選を巡り、初当選した議員が市内に住んでおらず被選挙権がなかったとして、落選した男性が県選挙管理委員会を相手取り、当選無効を求めた訴訟の判決が20日、仙台高裁であった。
訴えていたのは、市議選に現職で立候補して落選した山口裕昭さん(55)。被選挙権について、公職選挙法は市町村議選では、その市町村に住所を3カ月以上持つことを要件としている。小松氏は2019年11月、妻と暮らす高畠町の住宅から母親が1人で住む南陽市の実家に住民票を移した。
山口さんは落選後、市選管や県選管に当選無効を求める異議や審査を申し立てたが、いずれも棄却されていた。判決について、「主張が通ってありがたい。県選管と市選管は真摯(しんし)に受け止めてほしい」と話した。
南陽市議の当選「無効」 by yahoo!ニュース
一方、当選無効の判断を受け、小松氏は「明らかに市内に居住しており、当然、判決は納得いくものではない。県選管の対応を見守るとともに(証言や証拠の提出など)求められることがあれば全面的に協力する」と述べた。
以上、引用終わり。
最高裁に対する上告は、次の上告理由が存在する場合に限られます。
- 憲法解釈の誤り又はその他法令違反があること
- 重大な手続き違反(絶対上告理由)があること
小松氏に居住実態を証明する証拠があったのであれば、高裁において提出すべきでした。今さら提出するとしても民訴法157条によるところの「時機に遅れた攻撃防御方法」というほかありません。
そもそも、上告審は法律審ですから、上告審の審理対象は法律問題に限定されます。つまり、最高裁は原則として原判決で認定された事実に拘束されることから、小松氏の「新証拠」が最高裁において日の目を見る可能性はほぼありません。
したがって、この事件については、この高裁判決をもって事実上完結したといってよく、あとは行政訴訟にありがちな当事者の「面子」の問題で上告するか否かの判断になるのではないかと思います。
(2月5日追記)
南陽市議選当選無効 上告断念へ by NHK
県選挙管理委員会は上告するかどうか協議しましたが、「適法な不服申し立ての理由がないと判断した」として、上告期限の4日、最高裁判所への上告を断念しました。
4日の上告期限が過ぎると、小松議員の当選無効の判決が確定します。
判決が確定した場合、南陽市選挙管理委員会は選挙会を開き、次点で落選となった山口元議員を当選とする手続きをとることになります。
小松議員はNHKの取材に対し、「南陽市に居住実態はあったので、上告しないという判断は不服だ」と述べました。
南陽市議選・男性議員の“当選無効” 県選管が上告断念で確定 by yahoo!ニュース
県選管が上告を断念したことで、当選は無効とした高裁判決が確定することになります。訴えが認められ復活当選することになった山口元市議は、「上告すると思っていたので驚いたが、改めて市民のために頑張りたい」と話しています。
以上、引用終わり。
行政庁としての「面子」と高裁における事実認定の結果を踏まえた上告審における「勝訴の可能性」を比較検討した上で、県選挙管理委員会はようやく「理性的」かつ「合理的」な判断ができたようです。
司法システムは国民共有の財産であり、勝訴の見込みがないにも関わらず「面子」にこだわり上告するような不経済な訴訟は一国民としても容認し難いところです。
いずれにせよ、選挙の公正は司法により守られ、本来の役割を果たせなかった市選管及び県選管については今後の検証が不可欠であり、この点の追求については、是非、山口議員の活躍を期待したいと思います。