総務文教委員会、社会経済委員会連合審査会

 新庁舎の基本設計については、8月に向けて作業を進めているところですが、現在の内容について、連合審査会により審査を行いました。なお、資料中の基本設計の内容について、現在も作業中ということもあり、確定しておらず、変更もありえるということをお断りしておきます。

 さて、今回配られた資料の全体像については、所属会派市民の声「小黒弘」のホームページに紹介されています。

 私からは、防災関係についても聞いていますが、質疑に時間を要した組合室について述べていきます。

 組合室については、2階休養室に隣接して設置される予定です。面積は現時点では36.43m2となっています。私の質疑の趣旨を理解していただくには、いくつかの予備知識が必要ですので最後に参考資料として記載しておきます。

 まず、組合室を設置する根拠、面積の積算根拠等について質疑しました。「設置しないと不当労働行為になる可能性が高い」という答弁がありましたが、私は労働組合法の専門家ではないので、不当労働行為か否かの最終的な判断は裁判官になると考えます。そもそも、連合審査会の場で、法律論争をするつもりはなかったので、この点に関しては、専門家の意見を伺いたいところです。

 なお、法律家等の専門家に確認したのかという私の質疑には答弁はなかったかと思います。また、面積の積算根拠については、「現庁舎の使用面積が50m2であり、そこから小さくした」という答弁であったかと思いますが、他の事務室の積算のような明確な根拠は示されなかったかと思います。 

 そもそも、判例等によれば、労働組合法の適用を受けている民間企業の労働組合でさえ、使用者が労働組合に事務所を提供する義務はないところです。多額の税金を投入して建築する新庁舎に職員団体のための事務所を提供するのであれば、労使双方が市民に対して説明責任を果たす義務があるのではないでしょうか。

 商店街の人達からは、「組合事務所は商店街の空き店舗を活用してほしい」という声もあり、私は今回の連合審査会の場において、このような街の声を紹介しましたが、関係者が理解できたかどうかは不明です。

(参考資料)

地方自治法
(行政財産の管理及び処分)
第二百三十八条の四
7 行政財産は、その用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができる。
8 前項の規定による許可を受けてする行政財産の使用については、借地借家法 (平成三年法律第九十号)の規定は、これを適用しない。
9 第七項の規定により行政財産の使用を許可した場合において、公用若しくは公共用に供するため必要を生じたとき、又は許可の条件に違反する行為があると認めるときは、普通地方公共団体の長又は委員会は、その許可を取り消すことができる。

労働組合法
(不当労働行為)
第七条  使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
三  労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。ただし、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、かつ、厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与を除くものとする。

判例(大阪高裁平成27年6月2日判決平成26年(行コ)第162号)一部抜粋

 行政財産である市本庁舎内の本件事務所部分について、そ使用を許可するか否かは、その管理者である控訴人の市長の裁量に委ねられている。

 行政財産の用途又は目的を妨げる場合には,その使用を許可することができないことは明らかであるが、そのような事情がないからといって当然にその使用を許可しなければならないものではなく、行政財産である市本庁舎の目的及び用途と目的外使用の目的、態様等との関係に配慮した合理的な裁量判断により、使用許可をしないこともできるものである。

 本件各不許可処分は、労働組合等である被控訴人らが、組合事務所として使用していた本件事務室部分に係るものであるが、労働組合等が当然に控訴人の行政財産を組合事務所として利用する権利を保障されているということはできず控訴人において、労働組合等による上記利用を受忍しなければならない義務を負うと解すべき理由はないのであって、このことは、従前、組合事務所として利用するための使用許可が1年ごとに繰り返されてきたとしても、変わるものではない(最高裁昭和49年(オ)第188号同54年10月30日第三小法廷判決・民集33巻6号647頁等)

総務文教・社会経済委員会連合審査会

  本日は砂川市庁舎建設基本計画(案)を審議する表題審査会に出席しました。この基本計画(案)については平成29年11月1日水曜日から平成29年11月30日木曜日までパブリックコメント募集中です。

 我々委員も基本的には同じ資料で審議しています。様々な視点から審議すべき内容ですが、各委員により、最も熱心に取り上げられた主な論点は次のとおりです。

  • 防災機能
  • 耐震機能
  • 水害対策機能

 水害時における災害対策本部の運用の在り方、重要書類の避難方法、市役所の業務継続などは、やはり市民の皆様も心配していることと思います。また、情報発信・フリー(交流)スペースについても取り上げた委員は多かったと思います。

 さて、私は防災関連等についても質疑していますが、施設計画について最も時間を要したと思います。

 こちらは砂川市庁舎建設基本構想12ページの新庁舎の規模の内訳です。基本計画(案)についても、新庁舎の想定規模は5,500m2であり、これは基本構想から変わっておらず、面積積算の根拠は同じです。

 基本計画(案)では、この積算は国土交通省の「新営一般庁舎面積算出基準」により算出されていると記載されていますが、実際は情報発信スペースのような市独自の付加機能もあります。また、労働安全衛生法に基づく休養室などもあり、国土交通省の基準を積み上げても5,500m2とはなりません。付加機能の割合も含めた正確な記述が必要だと指摘しました。

 さて、労働安全衛生法による休養室ですが、拡大したものをご覧ください。

 休養室70m2となっていますが私の質疑の結果、休養室として設置後、大部分(50m2)を職員組合事務室として利用するために目的外使用許可を前提とした面積であることがわかりました。

 驚くべき事です。これまで審議会や市民への説明はなかったと思います。何も問題がないのであれば、最初から職員組合事務室と記載しておけばよいだけの話であり、実際、他の自治体の新庁舎建設の議論では記載しているところもあります。

 これは、新庁舎建設の課題や組合事務所設置の是非を議論する以前の問題であり、市民に議論を尽くしてもらうための情報が正確に伝えられていなかったという、情報公開の問題だと言えます。私が憤りを感じたのは正にこの点に尽きます。

 つまり、休養室の実質が職員組合事務室であることが明らかになっていれば、市民による審議会(又はパブコメの意見)等の方向性が変わっていた可能性もあります。そして、我々議員は、市民による議論の結果を尊重するという立場です。

 文字通りブラックボックスにより議会、市民のあずかり知らぬ所でこのようなスキームが描かれていたことには驚くばかりです。今後も新庁舎建設にまつわるこのような不透明な点は議会でもきちんと指摘し続けていかねばならないと考えます。