砂川市議の当選無効が確定 最高裁が上告棄却 居住実態なし

砂川市議の当選無効が確定 最高裁が上告棄却 居住実態なし by 北海道新聞

 高田氏の当選無効を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(池上政幸裁判長)は13日、高田氏側の上告を棄却した。高田氏の当選を無効とした札幌高裁判決が確定した。裁判官5人全員一致の判断。

 以上、引用終わり

 今後の手続きとしては、公職選挙法の規定により高田氏の当選無効の告示及び当選人の更正決定のための選挙会が開催されます。留意点として、公職選挙法96条等のいずれの条文においても「直ちに」と定められていることです。

 法律用語としての「直ちに」は、時間的即時性を強く表す場合に用いられる語であり、「遅滞なく」に比べ一切の遅滞が許されず、また、「速やかに」に比し急迫の程度が高いものとして用いられることが多いとされています(有斐閣法律用語辞典より)。

 したがって、判決文が送達されてきた場合には、即時に、間髪を入れずに告示をしなければならないのです。

(当選人の更正決定)
第九十六条 第二百六条、第二百七条第一項又は第二百八条第一項の規定による異議の申出、審査の申立て又は訴訟の結果、再選挙を行わないで当選人(衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては衆議院名簿届出政党等に係る当選人の数又は当選人、参議院比例代表選出議員の選挙にあつては参議院名簿届出政党等に係る当選人の数若しくは当選人となるべき順位又は当選人。以下この条において同じ。)を定めることができる場合においては、直ちに選挙会を開き当選人を定めなければならない
 
(当選証書の付与)
第百五条 第百三条第二項及び第四項並びに前条に規定する場合を除くほか、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙については中央選挙管理会、参議院合同選挙区選挙については当該選挙に関する事務を管理する参議院合同選挙区選挙管理委員会)は、第百二条の規定により当選人の当選の効力が生じたときは、直ちに当該当選人に当選証書を付与なければならない。
 
(選挙及び当選の無効の場合の告示)
第百七条 第十五章の規定による争訟の結果選挙若しくは当選が無効となつたとき若しくは第二百十条第一項の規定による訴訟が提起されなかつたこと、当該訴訟についての訴えを却下し若しくは訴状を却下する裁判が確定したこと若しくは当該訴訟が取り下げられたことにより当選が無効となつたとき又は第二百五十一条の規定により当選が無効となつたときは、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙については中央選挙管理会、参議院合同選挙区選挙については当該選挙に関する事務を管理する参議院合同選挙区選挙管理委員会)は、直ちにその旨を告示しなければならない

最高裁判所開廷期日情報(4月24日追記の記事有り)

 令和3年(行ツ)第61号(第一審札幌高裁令和2年(行ケ)第2号)の開廷日程情報(4月21日現在)が最高裁のホームページで公開されています。

 また、私がかねてより注目していた令和2年(行ツ)第300号(第一審東京高裁令和2年(行ケ)第1号)について、4月27日に判決言い渡し期日が指定されていました。

 法廷が違うこの事件と私の事件について、近接した日程により言い渡し期日が定められたことについては、偶然ではないと考えています。

 (4月24日追記)

 4月27日に第三小法廷で判決の言い渡し予定があった令和2年(行ツ)第300号(第一審東京高裁令和2年(行ケ)第1号)については、上告人が4月22日付で辞職したことにより上告を取り下げた模様です。

 

当選無効維持か 5月上告審判決 砂川市議、弁論なく(道新)

 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/533288?rct=n_justice

 先日、簡易書留にて判決言渡期日通知と上告受理申立にかかる「令和3年(行ヒ)第73号」の調書(決定)が最高裁第一小法廷より送付されてきました。上告受理申立については下記の通り裁判官全員一致で受理しない旨の決定がなされました。 

 道新の記事によるところの上告審判決は、上告提起にかかる「令和3年(行ツ)第61号」に関するものです。言渡期日は5月13日(木曜日)午後1時30分と指定されました。

 コロナ禍の状況下、私は仕事の事情もあるので最高裁判所には行けませんが、選管の担当者はこの機会に行ってみてはどうでしょうか。

 口頭弁論が開かれないので、記事の内容どおり、高裁判決(令和2年(行ケ)第2号)が維持される見込みであり、その場合、この事件は私の勝訴で決着がつくことになります。

 なお、上告受理申立てと上告提起の違いは、以下のURLを参照ください。

 https://www.courts.go.jp/sendai-h/saiban/tetuzuki/jokoku_teikijuri/index.html

 その他:最高裁判所の法廷 Q&Aより

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N国東大阪市議の当選無効「住所要件備えず」大阪高裁判決

N国東大阪市議の当選無効 by 毎日新聞

 2019年9月の東大阪市議選で当選した「NHKから国民を守る党」(現・NHK受信料を支払わない方法を教える党)の嶋谷昌美市議は市内での居住実態がないとして、次点で落選した候補が当選無効を求めた訴訟の判決で、大阪高裁は25日、当選を無効とした。

東大阪市のNHK党会派市議 当選無効 by 産経新聞

 判決は、嶋谷氏が投票前に1カ月以上、川西市の住居で女性と同居していたと認定。東大阪市での電気、ガス代が低額だった点に触れ、「夏場の選挙でエアコンなどを控えたとは考えられず、本拠は東大阪市ではなかった」と結論付けた。原告の男性は「住所要件を満たさない立候補者がいなくなることを願う」とコメントした。

 以上、引用おわり

 なお、原告の男性は次点で落選した共産党の浅野耕世元市議で氏は市選管及び府選管に異議を申し立てていたものの退けられていました。

 

上告理由書及び上告受理申立て理由書

 先に、最高裁に申請していた表記理由書(原審事件番号令和2年(行ケ)第2号)が特別送達により送付されました。申立人の北海道選挙管理委員会のものと、申立人補助参加人髙田浩子の2種類があります。

 とりあえず北海道選挙管理委員会の理由書を公開しておきます。元行政庁の末席に連なっていたものとして、一言、言わせてもらえば、この程度の理由しかないのであれば道選管は上告すべきではなかったと考えます。

 確かに、事務方にとっては選管の各委員は身内でもない、単なる「神輿」なのかもしれませんが、だからといって、安易に彼らの面子を汚してよいものではないはずです。事務方が上告を止めさせるべきでした。

 なお、各理由書についての道選管の主張については、特に目を見張るべきものはないところですが、次の主張は注目すべきであると考えます。

  • 上告理由書:3~4頁 「しかし、そもそも、上告人には補助参加人の住所や生活実態を調査する権限はなく・・砂川市選挙管理委員会が提出した・・資料に特段疑わしい点がない以上、これに基づいて認定し、・・・主張したことについて・・・、これを覆すのは不合理である。」
  • 上告受理申立て理由書:5頁 「「公職選挙法第9条第2項の住所とは、その人の生活にもつとも関係の深い一般的生活、全生活の中心を指すものと解すべく、私生活面の住所、事業活動面の住所、政治活動面の住所等を分離して判断すべきものではない。」とする従来の解釈は、時代遅れであって不合理であり、貴裁判所第三小法廷昭和35年3月22日判決その他貴裁判所の判例は変更されるべきである。」

 このように、道選管の選挙争訟の実務や住所の考え方が通説・判例等とは異なっていることが明らかになりました。

 しかし、道選管は令和2年7月17日付告示第19号において、最高裁第三小法廷昭和35年3月22日判決を引用した裁決を行っており(裁決書18頁)、道選管は裁判の原因となった自らの裁決の内容さえも確認していないようです。

 このような道選管の主張の一貫性のなさは全くもって意味不明ですが、いずれにせよ、私の主張が正しいのか道選管の主張が正しいのかは、最高裁の決定により遅かれ早かれ明らかになります。

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記録到着通知書

  最高裁第一小法廷より、原審事件番号令和2年(行ケ)第2号について、記録の送付を受けた旨の表記文書が普通郵便で届きました(民事訴訟規則197条3項)。

 今後、1か月から2か月程度で三行判決(三行決定)が送達されてきて事件は終結するという流れになろうかと思います。

 また、民事訴訟規則198条の規定により上告理由書及び上告受理申立理由書の送達はありませんでした。

(上告理由書の送達)
第百九十八条 上告裁判所原裁判所から事件送付を受けた場合において、第三百十七上告裁判所による上告却下等)第一規定による上告却下決定又は第二規定による上告棄却決定をしないときは、被上告人上告理由書の副本を送達しなければならないただし、上告裁判所が口頭弁論を経ないで審理及び裁判をする場合において、その必要がないと認めるときは、この限りでない
 

 結果が見えていたとしても上告された側としては、上告理由等は気になるところです。そこで、最高裁に申請して上告理由書及び上告受理申立書を送達してもらうことにしました。送達費用は1585円でした。

 なお、平成29年度において最高裁に上告がなされた件数2251件のうち、控訴審判決を破棄したケースは0件(0%)。上告受理申立てがなされた件数2780件のうち、控訴審判決を破棄したケースは21件(0.8%)です。

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南陽市議の当選無効判決(2月5日追記の記事有り)

 電気量減、居住実態認めず 南陽市議の当選無効判決 by 朝日新聞

 昨年3月の山形県南陽市議選を巡り、初当選した議員が市内に住んでおらず被選挙権がなかったとして、落選した男性が県選挙管理委員会を相手取り、当選無効を求めた訴訟の判決が20日、仙台高裁であった。

 訴えていたのは、市議選に現職で立候補して落選した山口裕昭さん(55)。被選挙権について、公職選挙法は市町村議選では、その市町村に住所を3カ月以上持つことを要件としている。小松氏は2019年11月、妻と暮らす高畠町の住宅から母親が1人で住む南陽市の実家に住民票を移した。

 山口さんは落選後、市選管や県選管に当選無効を求める異議や審査を申し立てたが、いずれも棄却されていた。判決について、「主張が通ってありがたい。県選管と市選管は真摯(しんし)に受け止めてほしい」と話した。

 南陽市議の当選「無効」 by yahoo!ニュース

 一方、当選無効の判断を受け、小松氏は「明らかに市内に居住しており、当然、判決は納得いくものではない。県選管の対応を見守るとともに(証言や証拠の提出など)求められることがあれば全面的に協力する」と述べた。

 以上、引用終わり。

 最高裁に対する上告は、次の上告理由が存在する場合に限られます。

  • 憲法解釈の誤り又はその他法令違反があること
  • 重大な手続き違反(絶対上告理由)があること

 小松氏に居住実態を証明する証拠があったのであれば、高裁において提出すべきでした。今さら提出するとしても民訴法157条によるところの「時機に遅れた攻撃防御方法」というほかありません。

 そもそも、上告審は法律審ですから、上告審の審理対象は法律問題に限定されます。つまり、最高裁は原則として原判決で認定された事実に拘束されることから、小松氏の「新証拠」が最高裁において日の目を見る可能性はほぼありません。

 したがって、この事件については、この高裁判決をもって事実上完結したといってよく、あとは行政訴訟にありがちな当事者の「面子」の問題で上告するか否かの判断になるのではないかと思います。

(2月5日追記)

 南陽市議選当選無効 上告断念へ by NHK

 県選挙管理委員会は上告するかどうか協議しましたが、「適法な不服申し立ての理由がないと判断した」として、上告期限の4日、最高裁判所への上告を断念しました。
 4日の上告期限が過ぎると、小松議員の当選無効の判決が確定します。
 判決が確定した場合、南陽市選挙管理委員会は選挙会を開き、次点で落選となった山口元議員を当選とする手続きをとることになります。
 小松議員はNHKの取材に対し、「南陽市に居住実態はあったので、上告しないという判断は不服だ」と述べました。

 南陽市議選・男性議員の“当選無効” 県選管が上告断念で確定 by yahoo!ニュース

 県選管が上告を断念したことで、当選は無効とした高裁判決が確定することになります。訴えが認められ復活当選することになった山口元市議は、「上告すると思っていたので驚いたが、改めて市民のために頑張りたい」と話しています。

 以上、引用終わり。

 行政庁としての「面子」と高裁における事実認定の結果を踏まえた上告審における「勝訴の可能性」を比較検討した上で、県選挙管理委員会はようやく「理性的」かつ「合理的」な判断ができたようです。

 司法システムは国民共有の財産であり、勝訴の見込みがないにも関わらず「面子」にこだわり上告するような不経済な訴訟は一国民としても容認し難いところです。

 いずれにせよ、選挙の公正は司法により守られ本来の役割を果たせなかった市選管及び県選管については今後の検証が不可欠であり、この点の追求については、是非、山口議員の活躍を期待したいと思います。

勝訴判決に対する被告等からの上告について

 2020年12月17日付で公開した令和2年(行ケ)第2号 当選無効請求事件判決について、上告状兼上告受理申立書の送達を受けましたので下記とおりお知らせいたします。

1.上告の提起および上告受理申立てがあった裁判所及び年月日

(1)裁判所:最高裁判所

(2)年月日:2020年12月21日

2.上告の提起および上告受理申立てを行った者

(1)〒060-0003 札幌市中央区北3条西6丁目

 上告人兼申立人 北海道選挙管理委員会 同代表委員長 水城義幸

(2)〒073-0163 北海道砂川市西3条北1丁目1番15号

 同補助参加人 髙田浩子

3.訴訟の原因 

 令和2年(行ケ)第2号 当選無効請求事件判決全文参照

4.上告されるに至った経過

 本件訴訟については、2020年12月17日に札幌高等裁判所において原告(武田真)の主張を全面的に認める判決がありましたが、被告等は当該判決を不服として上告の提起および上告受理申立てを行いました。

5.上告の内容

 原判決の破棄を求めていますが、現時点(2021年1月22日現在)では上告理由および上告受理申立て理由は明らかにされていません。私は上告審においても弁護士を立てない「本人訴訟」により、日本共産党高田ひろ子弁護団等と全面的に争っていく所存です。

以上

猪名川町議が失職 最高裁が上告棄却

猪名川町議が失職 最高裁が「当選無効の撤回」棄却 by 神戸新聞

 「昨年9月の兵庫県猪名川町議選で、選挙区内に居住実態がなかったとして県選挙管理委員会が中西典章氏(45)を当選無効とした決定について、中西氏が撤回を求めていた訴訟で、最高裁が上告を棄却したことが分かった。棄却決定は今月22日付。地方自治法により中西氏は失職した。今後、次点だった町議選候補者が事実上の繰り上げ当選となる見込み。」

猪名川町議会議員の失職が確定 by NHK

「町の選挙管理委員会によりますと中西氏は去年9月の選挙で初当選しましたが、その後、落選した候補の男性から「中西氏は町内で3か月以上生活していた実態がない」などと異議の申し出がありました。このため選挙管理委員会が調べたところ、公共料金の使用状況などから被選挙権がなかったと判断し、去年9月、当選を無効とする決定をしていました。
 中西氏が裁判で決定の取り消しを求めていましたが、最高裁判所が訴えを棄却し、22日付けで失職しました。」

 この事件については、中西氏への異議申立時より経過を観察してきましたが、予想通りの結果となりました。なお、大阪高裁が7月に中西氏の訴えを棄却し、中西氏は8月に最高裁に上告していました。

 居住実態が争われた過去の同様な事件(寝屋川市、伊豆の国市、七尾市、横浜市等)について、最高裁は上告があってから5~6カ月程度で上告を棄却し、高裁判決を維持しています。